名前が決まりました

10月4日、一年前のこの日に一般社団法人ごちゃらあとは誕生しました。 この記念すべき日に、一年間温め続けてきた私たちの事業拠点の名称を発表します。

その名は「らいか堂」です。

らいか堂のかつての家主は市井の名写真家です。その方は令和6年能登半島地震をきっかけに、隣人と、故郷と、我が家と別れを告げざるをえなくなりました。公費解体を目前に控えたある日、私たちは勇気を持ってこのお家の継承を相談させて頂きました。らいか堂とは、そんな家主様がかつて営んでいた写真店の屋号にちなんだ名称です。

空き家をリノベーションし、新しい拠点をつくるのであれば、それまでの面影を一新することも可能でした。しかし、それが果たして最善の方法なのだろうか?きっかけは空き家に残っていた沢山の写真でした。

能登半島地震と奥能登豪雨により、ボロボロで、泥まみれになった空き家の中で、かろうじて被害を免れたその写真は、家主様が何十年もその足で撮り集めてきた、古きよき輪島、奥能登の里山里海、それに関わる人々の歴史と原風景でした。

この写真の価値を見出し、二重被災でボロボロになった空き家をささやかに整えて行われた写真展「ひこばえ」。みずぼらしくも尊いその風景に、被災地内外の来館者が強く心を打たれ、集い、語りあいました。美しい見た目ではなく、その情景にまつわる歴史と物語にこそ、私たちは癒されたのです。その体験とご縁を大切にしたい、その想いを「らいか堂」という名称に込めさせて頂きました。

ここまで私たちとご縁のある皆様、そして地域住民の皆様と共に、あらゆる方法と角度から、延々と腹一杯の遠回りを学びあい、楽しみながら経て参りました。被災地復興には新規性とスピードが必要、という常識的見解へのアンチテーゼ、私たちが未来に向けて大切にしたいことはそんなことなのです。

二重被災地から精一杯の感謝と愛情を込めて、これからもみなさまと共にあり続けるために、ごちゃらあと、そして「らいか堂」を末永くよろしくお願い申し上げます。

一般社団法人ごちゃらあと 理事長 小浦友行